明治期における商業教育の教育課程の形成と展開(森川 治人)

 本論文は、まず、近代公教育制度史の空白部分である学制期の商業教育について、上等小学および下等・上等中学の教科に位置付けられた「記簿法」に注目し、その教育課程上の存在意義を、商業教育前史として論証した。つづいて、明治17(1884)年の商業学校通則による商業学校制度の創設から、明治32(1899)年の実業学校令制定にいたる間、中等教育として形成される商業学校の教育課程の構造と特質を、「簿記」および「商業実践」という二つの科目を中心として構成されたものとして、官報および教科書資料等によって明らかにした。
 さらに、商業学校通則以降における商業学校の教育課程が、中等教育程度として、法的・社会的に認定されるにいたる経過を、「徴兵令」および「文官任用令」の商業学校の教育課程への適用面から実証的に明らかにした。また、明治30(1897)年前後から、東京高等商業学校が欧米の商業教育からの影響を受容しつつ、高等教育としての商業教育課程を形成していく過程を、学校史資料から分析し、これを、中等商業教育からの高等商業教育の教育課程の分離として位置付けた。

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