武者小路実篤と魯迅の比較研究(楊 英華)

 本論文は、日本と中国それぞれの国に大きな影響を与えた知識人である武者小路実篤と魯迅についての比較文学的研究である。両者は、社会改造と人間性改善のための顕著な文学活動と、社会活動に取り組んだ共通点の多い啓蒙家、思想家であるとともに、作品の翻訳、紹介を通して文学上の交流が行われており、直接に面談もしている。少なくても1908年から1936年までの時期に両者は、互いに同様の考えを持ち、共鳴しあっていたことは明らかである。両者の本質を端的にいえば、思想を語る文学者であり、希望の二字を決して手放そうとしなかった。つまり、両者の作品は人間記録の文学であり、生活者の夢と闘いを織り交ぜた文学であると言える。要するに、実篤と魯迅にとっては、文学と人生との間に矛盾がなく、それを見事に一体化とした点において、共通していると言えるのである。

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