第2波フェミニズム運動は、英語という言語のありようにも影響を及ぼし、いわゆる性差別表現の改革の機運が高まることとなった。しかしながら、一方で、こうしたフェミニズム言語改革については、ヒステリックな言葉狩りであるとする見解や、その「政治的中立性」への過度の拘泥を揶揄する見解もあり、その全容を学術的・客観的な立場から概観した先行研究はいまだ不十分であった。本論文の目的は、こうした状況を踏まえ、現代の英語コミュニケーションにおける性差別表現の状況を実地に調査しようとするものである。ここではコーパス分析の手法を用いて、職種名称、総称のman、総称のhe、女性の敬称といった4種の表現を対象に、その使用状況を分析する。当該の英語語法に関する問題提起はフェミニズムの視点から行われているが、それぞれの語法分析は、多角的に収集した大量のデータに基づいて実証的に行っており、英語学的研究方法をとる。さらに、全体としては、社会言語学、辞書学、英語教育学などの幅広い分野から考察を加えている。