「移民」思潮の軌跡(田川 真理子)

 先行研究においては、研究者各々の視点により、限定された時と空間の中に存在した「移民」が摘出し論じられた結果、移民の全体像、あるいは真の姿が鮮明に映し出されてこなかった嫌いがある。「満州移民」を範疇外とし、或いは、「移民」の概念を明治以降と規定し、そこから論じていこうとするのもその現れであろう。しかし果たして「移民」の捉え方はそれで事足りるのであろうか。もう少し巨視的な視点に立って、敢えて従来の枠組みを越え、「移民」を再認識していく作業が必要なのではないだろうか。本稿は以上のような問題意識からスタートし、「移民」の全体像をとらえるため、「移民」の背後に控えた日本社会の思潮、及び「移民」者自身の思潮を時代の推移とともに捉え直すことを主眼とする。その過程で、社会事象、あるいは、国際労働力移動の流れの中での「移民」の姿、位置付けを考察する。

論文リスト][閉じる