中国雲南省西北金沙江・瀾滄江上流域のリス族に関する民族生態史的研究(何 大勇)

 環境と人類との関係を解明する研究では、人類学(民族学)と生態学や環境学との共同研究が進んでいるが、どのように議論を深めるかについての展望や細分化した研究はまだない。本研究は、環境保全と持続的発展の課題を究明するために、新たな研究分野である民族生態史の理念を提唱した。
 中国雲南省西北部の金沙江と瀾滄江上流域では、豊かな自然・生物多様性と民族・文化多様性が現出しており、2003年に「怒江」流域を含め、「三江並流」として世界遺産に登録された。「三江並流」地域は、古くから人類学的調査研究地域として注目されてきた。本論文は中国雲南省における金沙江と瀾滄江に挟まれた領域の山地に居住しているリス族を対象に、フィルード・ワークに基づき、生業複合の構成、生態環境利用の変容・転換、資源管理に焦点を当て、民族と環境との相互作用の実態を解明し、民族生態史の視座から分析したものである。本研究で示した生態統括と民族間の文化的エコトーン(移行帯・接点域)に関する研究視点を、今後多くの事例を通じてさらに深化させることが最重要の課題である。

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